カペルテータ・フェルナンデスの朝は早い。
いつも日の昇る頃に目を覚まし目線の先に居るこの家の主人が寝ているのをじっと観察する。
いびきも立てずに眠るこの家の主人、レイオット・スタインバーグはよく「いつ寝ているんだ」などと聞くがカペルテータとしては「夜寝てます」としか言いようが無いのである。
確かにカペルテータは寝るときはレイオットが寝るのを確認してから寝るのだが、朝は特に意識しておきているわけではない。そもそも昼間もよく寝ているし、夜も早く寝ているのだからレイオットはカペルテータよりも早く起きるのが道理ではないだろうか。
膝の上で寝ていたシャロンをそっと抱き上げレイオットの布団の上に置き寝室を出る。
洗面所で顔を洗い、歯を磨く。服を着替え寝室に戻るとシャロンが
「みゃあ、みゃあ」
と鳴きながらレイオットの前髪を攻撃していた。
レイオットは顔を踏まれ迷惑そうである。
「…おはよう」
「おはようございます」
未だ攻撃をやめようとしないシャロンを抱き上げて身を起こす。
「…まだ小さいからいいが、大きくなってやられたら痛そうだぞ」
「そうですね」
「…」
「…」
「…ずいぶん早起きしてしまったな」
「平均的なサラリーマンの起床時間とあまり変わらないように思いますが」
「…まあ、そうなんだがな」
「パンを売ることを生業とする人たちは日の出より早く起きるそうです」
「…朝食べるしな」
「…」
「…」
カペルテータの無言の圧力に屈したのか、ため息をつきながら起き上がる。もちろんカペルテータは圧力をかけているつもりは無いのだが
「―レイオット寝癖がついています」
「ん?そうか」
レイオットが自分の前髪を触る。
「いえ、こっちです」
カペルテータが背を伸ばし、レイオットの前髪に触れようとする。
そうすれば当然二人の手が触れ合い―

「そろそろ髪を切るかな」
「それがいいと思います。髪が目にかかれば視界に影響が出ます」
…この二人で何かが起こるわけも無く、今日もいつものように一日が始まる。

 

 

 

――――――――――――

あとがき

いきなりストレイト・ジャケットです。しかも何の意味も無く山も無くオチも無いです。

さらにまずいことにナレーションの視点が一貫していません(汗

なんとしてもカペルが書きたかっただけなんです。見逃してください。

そのうち昼と夜をつける予定です。

bbsやメールで感想をいただけると管理人が小躍りして喜ぶのでよろしくお願いします。

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