「士郎、明日三咲町まで出かけるわよ」
「なんでさ」

 

というわけで衛宮士郎、遠坂凛、そしてそのサーヴァントであるセイバーは今三咲町に向かう電車の中にいた
「で、何でいきなり三咲町なんだ?」
「うーん、どこから話そうかな。まず士郎あなた遠野の本家が三咲町にあるって知ってる?」
「いや、聞いたこと無いぞ?」
「そう、割と有名な話だと思ったけど。まあいいわ。とにかく遠野の本家は三咲町にあるの、それで今日はそこに行くんだけど――」
「ちょっと待ってくれ遠坂、そもそも遠野って何だ?」

その一言にすでに説明モードに入っていた凛の動きがピタリと止まった。
怪訝な顔でたずねる。

「『混血』の遠野よ。知らないの?」
「いや知らない」

その一言凛は心底あきれたというようにその肩を落としため息をついた。
そのわざとらしいしぐさに士郎はムッとくる。

「なんだよ。そんなに有名なのか?」
「まあ一般人にはそんなに有名じゃないだろうけど、日本に住んでて魔術なんかにかかわっている人間なら知らない人はいないわよ」
「何なんだ、その『混血』って」
「その名前の通りよ、超越種との混血だって噂ね」
「超越種?」
「…本当に物を知らないのね。精霊とか鬼とかの総称よ」
「鬼なんて本当にいるのか?」
「さあ。私は見たこと無いけど、それらしいのはいたんじゃないかしら?実際に混血といわれる彼らは何の仕掛けもなしに力を行使するらしいし」
「ふーん、そうするとセイバーもそうなのか?」

今までひたすらに柿ピーを食べていたセイバーは自分の名前が出たことで顔を上げた。

「なにがですか?シロウ」
「いや、セイバーは竜の因子で特殊な魔力炉をもってるじゃないか、それは竜との『混血』って事なのか?」
「そうですね。凛の言う混血の定義がよくわからないのですが、竜と人の血が混じっているという意味ならば私も『混血』といえるでしょう」
「そうね。この前の聖杯戦争で出てきたサーヴァントには神霊との混血も多かったけど、それは超越種の世界と私達の世界の境界があいまいな時代だったから。でも今は精霊たちが私達の前から姿を消してから相当な時間が経っているもの、混血としての能力を保つためには相当な努力があったはずよ」
「へ〜」(というかセイバーがちゃんと話を聞いていたほうが驚きだ…)
「何か言いましたか?シロウ」
「え!?い、いや相槌を打っただけだぞ?」
「今なにやら失礼なことを考えませんでしたか?」
「そんなこと無いって!」
「…ちょっと、私の話ちゃんと聞いてる?」
「あ、ああ!聞いてるぞ。それでその遠野に何しに行くんだ?」

士郎はセイバーの追及の視線に気付かない振りをして無理やり会話を戻した。

「…それで当然この国の宗教なんかは遠野とのつながりがあるわけ、今回の聖杯戦争は派手だったし証人喚問ってところかしら」
「でも前回ほどの被害は出なかっただろう?」
「前回はこの土地の管理者、私の父は戦いに敗れていたのよ?呼ぼうにも呼べないじゃない」
「あっ、そうか。悪い…」
「別に謝らなくてもいいわよ。それに今回は間が十年っていう短い間隔だったし、本来監督をすべき教会の人間が裏切ったし、いろいろと混乱しているのよ」
「そうなのか、遠坂も大変だな」
「で、そこに着いた時の注意点。まずそこの当主は十六歳の女子高生らしいわ」
「十六歳?、そんなに若いのか?なんかもっとすごい爺さんを想像したんだけど」
「ええ、遠野は短命が多いらしいわ。結局血を守るということは一族の内々で婚姻を結び続けるということだし、遺伝的に体が弱いんじゃないかしら」
「そんなものなのか?」
「私も詳しくは知らないわ。とにかく内向的な一族なのよ。なんにせよ、どんな相手が出てきても不用意な発言は避けてちょうだい。『女の子なんだから』なんて言った日にはいつの間にか冬木市における大規模テロの犯人に仕立て上げられているかもしれないわ」
「な、なんだそれ」
「遠野の本当の怖さはその特殊な能力じゃなくて、政治・経済力にあるってことよ。敵にまわすと本当に面倒になるから気を付けて」
「わかった、俺は黙ってればいいんだろ?」
「そういうこと、セイバーもよろしくね」
「わかりました。リン」

三人の乗った電車が段々と減速していった。

「後、三つか四つで乗り換えだから――、って駅じゃないじゃない」

確かに外には駅のホームは見当たらず、閑散とした住宅地だった。
窓の外を困惑顔で覗いていると車内放送が入ってきた。

『先ほど××駅と○○駅の間の線路に破損が生じているとの情報が入りました。現在確認の為上下線とも運行を中断させていただいております。なにとぞご理解とご協力をお願いいたします。なお詳しい情報が入り次第――』

 

 

 

―――――――――――――

あとがき

とりあえず前半。

後半もできるだけ早くあげたいと思います。

 

 

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