まぶしい日の光が差し込んできて朝の到来を告げる。
部屋の中にはカレーのにおいが立ち込めていた。台所に目を向けるとスーツ姿にエプロンというアンバランスな格好の先輩が、鼻歌を歌いながらカレーをかき混ぜていた。

「おはようございます。先輩」
「あら?、起こしちゃいましたか?」

そう言うと火を止めこちらを振り返り

「おはようございます」

と、満面の笑みを向けてくれた。

 

 


遅めの朝食を向かい合って食べる。当然メニューはカレーだ。

「遠野君、前にも言いましたが私は今日から仕事に行きますので」
「ええ、一週間でしたっけ?」
「はい、ちょうど一週間です。その間遠野君はどうするんですか?」
「うーん、久しぶりに家に帰ろうかな…」
「ここ、自由に使ってもらって構わないんですよ?」
「ありがとう、でもたまには帰らないとね」
「そんな事言いながら、アルクェイドの家にも行くんでしょう?」

先輩がちょっと責める様に上目使いでこちらに目を向けた。

「ははは、まあしょうがないじゃないですか。あいつも拗ねると手に負えないですからね」
「だからと言って、ここは一応否定して見せるのが礼儀じゃないんですか?」
「嘘をついても見破られちゃいますからね。それに先輩には嘘、つきたくないですから」
「またそんなことばかり言って。はぁ、あんなに純真だった遠野君はこんなにもすれてしまったんですね」
「まあまあ、それよりも今回はどこに行くんですか?」

先輩は不満そうだったけど話題を変えてくれた。朝食が終わり二人で皿を洗って、先輩が出かけるのをキスをして見送った。

街に出てこれからどうするかを考える。今帰っても秋葉は家に居ないだろうからとりあえずはアルクエイドの家に行くことにした。
初夏といえども日差しが厳しい。それにもともとそんなに黒いほうではないが最近は自分で見ても違和感を覚えるほどに白い。なんだかこっちが吸血鬼になった気がしてしまう。
まあ三日にいっぺんしか外に出ないような生活をしていれば当然だ。
遠野志貴は今世間一般で言う『ヒモ』のような生活をしていた。

 

 

 

 


「おはよう」

部屋に入るとお姫様はまだ夢の中だった。ワイシャツ一枚なので生足が眩しい。勝手知ったる他人の家、朝飯でも作ってやろうと冷蔵庫を開けるが何も無い見事なまでに空っぽだった。

「しばらく来てなかったからなぁ」
「あー、志貴がいる。おはよー」

お姫様の目が覚めたようだ。ベットの上にあぐらをかき眠そうに目をこすっている。

「おはよう、もうちょっと寝てていいぞ、朝飯作るから。インスタントだけど」
「うー」

片手を挙げて背伸びをし始めた。

「なにー?、カレーの魔殿からは脱出できたの?」
「カレーの魔殿て…、先輩は今日から仕事で一週間海の外」
「え?じゃあ今日は泊まっていくの?」
「いや今日は家に帰ろうかと…」
「えー、いいじゃない泊まっていってよー。どうせ家に帰っても妹にいじめられるだけだってー」
「うっ、まあそれはそうなんだけどやっぱりたまには帰らなきゃ」
「ぶー、なによー、それじゃあ私の所になら泊まらなくていいって言うのー?」
「いやそうは言わないけど…、ほらできたぞ」

テーブルにラーメンを置くとずるずるとベットからはい出してくる。正直言ってかなり行儀が悪い。

「うう、具も何も無い。所詮私への愛はこんなものなのねー」
「それは他になのも無かったから…」

愚痴を言いながらやる気がなさそうにラーメンをすすっている。どうしようもなく行儀が悪い。

「はあ、分かったよ今日は泊まらないけどこの一週間の間に必ず泊まりに来るから。ほらしゃんとして」
「ほんと?、約束よ?」
「はいはい、でもここに泊まると先輩怒るんだよなぁ」
「向こうに行くのは一応認めてるのにね。やーねー独占欲丸出しで」
「それはただあきらめてるだけだと思うぞ…」
「それよりも!」

アルクェイドは箸を置き首に、手を回してきて、ベットに倒れこもうとする。

「泊まらないにしても夜まではここに居るんでしょう?じゃあ楽しみましょう?」
「あっ、こら、ちゃんと食べてからにしろ」
「大丈夫冷めたラーメンも結構いけるのよ?」
「お前お姫様だろうに…」

 

そのとき交わしたキスは、少ししょっぱかった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

後書き

…このssに何の意味があるのか、それは管理人にも分からないので聞かないでください。

おかしーですね?本当はもっと長くなってるはずなんですが、結構時間はかかってるのにこのでき…

しいて言えばシエル先輩とアルクェイドのたち位置の違い?見たいなものを感じてもらえればなーと

bbsやメールで一言感想をいただけると管理人が狂喜乱舞しますので、なにとぞよろしくお願いします。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送