「久しぶりですね、志貴」

砂漠に住む彼女は唐突にやってきた。


「シオン、どうしたんだ。急に?」
「どうしたんだとはつれないですね。わざわざ砂漠から旧友との関係を暖めにきたというのに」
「そうなの?、うれしいな、わざわざ来てくれるなんて」
「ええ、私も志貴にあえてうれしいです」

…面と向かっていわれると照れてしまう。というかこんな事言うキャラだっけ?

「どうしたんですか?、大丈夫です。今回は本当に観光ですよ。できればこの町を案内してほしいのですが」

にっこりと笑い手を差出てくる。
確かに前回は観光どころでは無かったし、シオンも仕事から離れればこんな顔も見せるのかもしれない。だったらできるだけ楽しむのがいいだろう。


…そうやってかすかな違和感を心の中に押し込んだ。

 

 

 

その後は街を案内したみたけがシオンは大抵の事は知っているし、初めての事でもまるで熟練者のようにうまくこなした。

「これじゃあんまり案内する意味ないな」
「いえ、所詮これは借り物の知識です。私は今とてもたのしいですよ。志貴」

そう言ってシオンはにっこりと笑った。

 


「日が落ちてきたな」

一通り街を案内して最後に公園のベンチで足を休める。

「ええ、今日はとても楽しかったです。ありがとうございます。志貴」
「こちらこそ楽しかったよどこが一番楽しかった?」
「ゲームセンターとやらが楽しかったです。単純すぎて予測を立てても意味が無いですからね」
「その割には強かったけど…、こっちにはどのくらい居るんだ?」
「日本には一週間くらい滞在しますが、この街は今日のうちに発ちます」
「そうなのか?だったら秋葉とかにも会えばよかったのに」
「いいのです。私は志貴に会いたかったのですから」

シオンがこちらを見つめている、その顔は赤く赤く夕焼けに染まっていた。

「志貴、貴方にひとつだけお願いがあります」
「シオン?」
「目を、閉じていただけませんか?」

シオンの手が頬に触れる。
その微かな感触と真摯に向けられた視線を受け俺は――


1.目を閉じた。
2.違和感をぬぐえなかった。

 

 

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